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美大=画家?美大卒業後のリアルと「本当に学べること」

  • 美術大学.美大受験 .アート教育.アートの本質 .理論と実践 .自己表現 #自己ブランディング

美術系大学、いわゆる「美大」を目指す学生やその親御さんが必ず一度は抱く疑問があります。「美大を卒業したら、画家にならなきゃいけないの?」「絵を描く仕事以外に、どんな仕事に就けるのだろうか?」という不安です。

 

美大といえば、キャンバスに向かって黙々と絵の具を重ねる芸術家を育成する場所、というイメージが根強くあります。しかし、実際のところ美大卒業後のキャリアは驚くほど多岐にわたります。今回は、美大進学の本当の価値と、卒業後のリアルな進路について深く掘り下げていきます。

画家になるのに「資格」や「学歴」はいらない

まず結論から言うと、画家になるために美大を卒業する必要は一切ありません。逆説的に聞こえるかもしれませんが、明日から「私は画家になります」と決意し、次の日に名刺へ「画家」と刷ってしまえば、その瞬間から誰でも画家を名乗ることができます。

 

絵を描く職業には、医師や弁護士のような国家資格は存在しません。そのため、美大に行かなくても画家にはなれるのです。この事実を知ると、「では、なぜ高い学費を払ってまで美大に行く必要があるのか?」という新たな疑問が生まれるかもしれません。その答えは、単なる技術の習得にとどまらない「美大ならではの学び」にあります。

「絵が上手くなること」と「絵で食べていくこと」の決定的な違い

ここで一つ、絶対に勘違いしてはいけない重要なポイントがあります。それは、「絵が上手になること」と「絵でご飯を食べていくこと(お金を稼ぐこと)」は、全くの別物であるという事実です。

 

もしあなたが美大に進学し、「自分の絵の才能だけでお金を稼ぎたい」と本気で考えるのであれば、絵を描く練習だけをしていては生き残れません。作品を生み出す技術を磨くことと並行して、「どうすれば自分の作品がお金に変わるのか」「どうやって自身の価値を社会に届けるのか」という、お金を稼ぐための勉強やビジネスの視点が必ず求められます。

 

絵を描く勉強と、稼ぐための勉強は全く違うベクトルを持っています。この両輪をしっかりと回すことができて初めて、やっと「お金儲けのできる画家」として自立することができるのです。

美大で本当に学ぶのは「クリエイティブな思考法」

では、画家にならない美大生たちは、大学で何を学び、どこへ向かうのでしょうか。

あくまで美大という場所は、「美術」を入り口として「クリエイティブな思考法」を学ぶための機関です。

デッサンや彫刻、デザインといった表現技法を通じて、物事の本質を捉える観察力、ゼロから新しい価値を生み出す発想力、そして正解のない課題に対して自分なりの答えを導き出すプロセスを徹底的に鍛え上げます。

この「クリエイティブな思考法」は、キャンバスの上だけで役立つものではありません。あらゆるジャンル、あらゆる業種において非常に汎用性の高い学問なのです。

 

以下は、美大で培われる思考法が社会でどのように活きるかの一例です。

求められる力 美大での学び(美術を通じた訓練) 社会・企業での活用シーン
企画力 独自の視点で作品のコンセプトを構想する 新規事業の立ち上げ、画期的なサービスの企画
開発力 素材の特性を活かし、ゼロから形を創り上げる プロダクトデザイン、ユーザー体験(UX)の開発
経営視点 俯瞰的な視野で作品と空間の調和をはかる 組織マネジメント、企業ブランディング戦略

 

つまり、企業や社会が美大出身者に求めているのは、単に「絵が描ける」「デザインソフトが使える」といった表面的な技術(スキル)ではありません。「脳みその使い方」「物事の捉え方」そのものなのです。

まとめ:柔軟に社会に関わる人材へ

「美大=画家」というステレオタイプは、もはや過去のものです。美大は、美術というフィルターを通して世界を独自の視点で捉え、柔軟に社会に関わっていけるクリエイティブな人材を育てる場所へと進化しています。

 

企画、開発、経営、あるいは全く新しいジャンルの仕事であっても、美大で鍛え上げた「脳みその使い方」は必ず強力な武器になります。進路に悩む方は、美術を「職業のゴール」としてだけでなく、社会で幅広く活躍するための「最強のツール」として捉え直してみてはいかがでしょうか。